英語の多読とは?効果・やり方・教材の選び方を初心者向けに解説

英語の多読を始めるための読書ガイドリーディング
リーディング英語学習ノウハウ

英語の本をたくさん読もうとしても、知らない単語のたびに辞書を引き、数ページで疲れてしまうことがあります。多読で大切なのは、難しい本を我慢して読むことではなく、辞書に頼りすぎず内容を追える、興味のある本を数多く読むことです。

この記事では、「時間と場所を決める→本を選ぶ→読んで記録する」という3ステップに沿って、教材の難易度チェック、辞書を使う判断、10~20分のメニュー、最初の1週間の進め方まで解説します。多読だけで試験得点が必ず上がるわけではありませんが、やさしい英文へ継続的に触れる学習として、読解・語彙・流暢さ・読書意欲などへの効果が研究されています。

英語の多読とは?精読・音読・速読との違い

多読は、学習者が自分で選んだ、比較的やさしく興味を持てる英文を、内容を楽しむために多く読む学習法です。個々の文法項目を分析するより、物語や情報の流れを追い、読む量を確保します。

学習法主な目的素材・進め方多読との違い
多読読書量を増やし、内容を楽しむやさしい本を自分で選び、止まりすぎず読む本記事の中心
精読意味・文法・構造を正確に確認する短い英文を詳しく分析する分からない原因を深掘りする
音読理解済み英文を声に出す意味と音を確認して発声する読む量ではなく発声活動
速読目的に応じて短時間で情報を取る時間を意識して必要情報を読む速度が目的で、多読と同義ではない

多読中の速度が次第に上がることはありますが、多読と速読は同じではありません。音読も「大意だけ理解する方法」ではなく、声に出す活動です。精読も必ず日本語へ全文翻訳する方法ではありません。それぞれ目的を分けます。

多読の教材は、理解度や未知語の割合を一つの数値だけで決めるより、実際に数ページ読んで判断することが大切です。語彙研究では、文章中の単語をほぼ知っているほど内容を追いやすい傾向が示されていますが、必要な割合は読者や文章によって変わります。辞書を何度も引かなくても、人物・出来事・話の流れを追える本を選びましょう。

文の構造を詳しく確認したいときは、英語の精読のやり方も参考になります。

英文を読めない原因から練習方法を選びたい方は、リーディング力を上げる方法も参考にしてください。

多読で期待できる効果と限界

多読では、読解、語彙、読む流暢さ、読書への意欲などの向上が期待できます。複数の研究をまとめた分析でも多読の有益性が報告されていますが、効果は教材の難易度、読書量、期間、取り組み方によって変わります。多読だけで全員が同じ成果を得るわけではないため、内容を追える教材を継続して読むことを優先します。

英文を読む量と流暢さを増やしやすい

やさしい英文を止まりすぎずに読むと、同じ語句や文型へ繰り返し出会えます。経験が積み重なるにつれて、同程度の文章で意味を取るまでの迷いが減る可能性があります。ただし、読む速度だけを追いかけず、内容を説明できるかも一緒に確認してください。

語彙を文脈で再確認できる

多読では、知っている語へ異なる文脈で何度も出会い、意味や使われ方を確かめられます。未知語を一度見ただけで覚えられるとは限らないため、重要語は読書後に少数だけ確認し、別の日に再読します。

読書への抵抗を下げ、継続しやすくする

興味のある本を自分で選べることは、多読の重要な特徴です。難しい本を完読するより、やさしい本を「続きを読みたい」と思えることを優先します。読書が苦痛なら、努力不足ではなく教材が難しい、長い、興味に合わない可能性があります。

試験対策には別の練習も必要

多読は英文へ触れる量を増やせますが、読書量だけでTOEICなどの得点向上が保証されるわけではありません。試験が目的なら、多読に加えて、出題形式、語彙・文法、設問の解き方、時間配分も練習します。

多読を始める前の教材難易度チェック

候補を1冊に決める前に、ランダムな2~3ページを読みます。次の項目を確認してください。

  • 辞書なしでも、誰が何をしているか大まかに分かる
  • 一文ごとに日本語へ訳さなくても話を追える
  • 未知語があっても前後から読み進められる
  • 5分読んでも、調べたい語が次々に出ない
  • 続きを読みたい、または題材に興味がある

3項目以上で難しいと感じるなら、一段階やさしい本、短い本、内容を知っている物語へ替えます。「自分の能力より簡単すぎる」と感じる本から始めても問題ありません。

英語多読のやり方3ステップ

ステップ1|時間と場所を決める

初心者は1回10~20分から始めます。毎日60分を目標にして負担を大きくするより、週3回でも同じ時間帯に再開できる方が続けやすくなります。

「朝食後に10分」「通勤電車で15分」「就寝前に紙の本を10分」のように、既存の行動へつなげます。スマートフォンの通知で中断するなら、機内モードや紙の本を使います。

ステップ2|やさしく、興味を持てる本を1冊選ぶ

レベル表示や試験スコアは参考値です。作品の長さ、背景知識、ジャンルでも読みやすさは変わります。最初から数冊まとめて買わず、試し読みできる1冊で難易度チェックを行います。

選びやすい素材は、使用語彙を制限したGraded Readers、短い児童向け読み物、内容を知っている物語、興味のある伝記やノンフィクションです。一般向け原書にこだわる必要はありません。

ステップ3|内容を追い、読書後に短く記録する

読む最中は、すべての未知語を調べず、人物、出来事、主張を追います。一文が分からなくても次で意味が回復するなら、そのまま進みます。数ページ続けても話が分からない場合は、精読へ切り替えるより、まず教材をやさしくします。

読書後は、日付、書名、時間またはページ数、一言メモを記録します。語数が分かる教材なら語数も使えますが、推測で正確な累計語数を作る必要はありません。量の競争より、どの難易度なら楽しめたかを残します。

初心者の1週間実践例

以下は、初めて多読へ取り組む人を想定した架空の例です。ラダーシリーズなどのやさしい教材を1冊選び、平日は10~15分、週末に見直します。

日行動判断・記録
1日目Level 1などの候補を2冊試し読みする興味があり、数ページで話を追える1冊を選ぶ
2日目朝食後に10分読む時間、ページ数、内容を一言で記録する
3日目同じ時間に10分読む未知語は印だけ付け、話が分かれば進む
4日目休むか、前回の続きから10分読む再開しやすかったかを確認する
5日目15分読み、繰り返し出る重要語を1~2語確認する辞書検索で読書が止まらなかったか記録する
6日目15分読み、章の要点を一文で書く人物・出来事・結論のどれかを説明する
7日目1週間の記録を見直す内容を追えないならレベルを下げ、続きが気になるなら同じ本を継続する

この例の目的は、7日間で大量に読むことではありません。時間と場所を固定し、教材の難易度、辞書の頻度、続けたい気持ちを確認して、翌週の読書を調整することです。

多読中に辞書を使うか迷ったとき

多読は「辞書を絶対に使わない」活動ではありません。調べる頻度で読書の流れが止まるかを基準にします。

  • 読み進められる:その場では調べない
  • 繰り返し出て、理解を左右する:印を付け、章の終わりに確認
  • 固有名詞や専門語で話が止まる:必要最小限を確認
  • 1ページに何度も検索する:本を一段階やさしくする

辞書を引き始めて文構造まで詳しく分析したくなったら、その箇所を後で精読用メモへ移します。多読の時間と精読の時間を分ければ、どちらも中途半端になりません。

1日10~20分の多読メニューと1週間記録

10分の場合

  1. 前回の一言メモを確認:1分
  2. 本文を止まりすぎず読む:8分
  3. 時間・ページ・一言を記録:1分

20分の場合

  1. 前回までの流れを思い出す:2分
  2. 本文を読む:15分
  3. 要点を一文で記録:2分
  4. 必要な語を1~2語だけ確認:1分
曜日時間記録例
月10分登場人物と場所が分かった
水15分未知語はあったが話を追えた
金10分同じページで止まるためレベルを下げる
日20分1章終了。次も読みたい

読む日数が少なくても構いません。週末に、合計時間より「続きが分かったか」「難易度が合ったか」を確認します。

多読教材の選び方とラダーシリーズ

教材名より、レベル分け、興味、長さ、試し読み、語彙支援の有無を優先します。

ラダーシリーズは、使用語彙を制限したレベル別の英文リーダーです。Level 1は1,000語、Level 2は1,300語、Level 3は1,600語、Level 4は2,000語、Level 5は語彙制限なしで構成されています。Level 1・2は本文中の全語、Level 3以上は中学レベル外の語を中心に巻末ワードリストがあります。

レベル向いている人選ぶときの確認
Level 1短くやさしい英文から始めたい人5分間、辞書なしで話の流れを追えるか
Level 2Level 1を無理なく読め、少し語彙を広げたい人一文ずつ訳さなくても読み進められるか
Level 3・4基本語彙があり、より長い物語や情報文を楽しみたい人未知語があっても章の要点を説明できるか
Level 5語彙制限のない英文へ段階的に近づきたい人長さとテーマを含め、継続して読みたいと思えるか

レベル番号や試験スコアは目安です。興味のあるテーマか、数ページで内容を追えるか、辞書を頻繁に引かず読めるか、続きを読みたいと思えるかの4点で最終判断します。Level 1が難しければ、さらに短いGraded Readersや内容を知っている物語から始めて構いません。

音声は全タイトル共通ではありません。対応作品では外部サービスによる有料MP3があり、一部朗読は公式YouTubeで無料公開されています。電子版の読み放題サービスも案内されていますが、利用条件や価格は公開直前に公式ページで再確認してください。

理解した英文を声に出す練習には、英語の音読のやり方も役立ちます。

よくある質問

多読を始める前に精読・音読は必須ですか?

必須ではありません。短くやさしい英文を大まかに理解できるなら、多読を始められます。文の骨組みが取れず内容を追えない場合は、精読や基礎文法を並行します。音声がある本を音読に使うこともできますが、多読の前提条件ではありません。

同じ本を読み直しても多読ですか?

内容を楽しみながら読み直すなら読書量になります。2回目は止まる箇所が減ったか確認できます。ただし暗記した一冊だけで速度を判断せず、別の同レベル本も読みます。

難しい本を最後まで読むべきですか?

多読では本を替えて構いません。読めない本を我慢するより、やさしい本で量と継続を確保します。後で戻りたい本として記録しておけば十分です。

多読が続かないときの調整方法

多読が止まる原因は、意志の弱さより教材と運用の不一致であることが多いです。1回の読書で検索が何度も必要なら難易度を下げ、集中が続かないなら章の短い本へ替えます。内容に興味が持てない本は、評価が高くても中断して構いません。物語が苦手なら伝記、科学、旅行、仕事などのノンフィクションを選びます。

  • 最初の5分で話を追えない:一段階やさしい本へ替える
  • 人物関係を忘れる:読書後に人物と出来事を一文で記録する
  • 毎回辞書を引く:章末まで印だけ残し、検索回数を数える
  • 読む時間が取れない:10分を5分にし、曜日と場所を固定する
  • 読了だけが目的になる:次を読みたいか、内容を一言で言えるかも記録する

難易度を下げても読めない場合は、短い箇所を精読して、語彙・文法・文構造のどこで止まるか確認します。弱点を補った後、同じ本へ戻るか、別のやさしい本で再開します。多読と基礎学習を行き来することは失敗ではありません。

まとめ

英語の多読は、やさしく興味を持てる英文を、内容を楽しみながら多く読む学習法です。始め方は、時間と場所を決める→数ページで難易度を確かめて本を選ぶ→止まりすぎず読み、短く記録するの3ステップです。

理解度や未知語率を一律の数値へ合わせる必要はありません。辞書検索が頻繁になり、話を追えないなら本をやさしくします。まずは10分、1冊、1ページから始め、1週間後に難易度と継続状況を見直してください。

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